2020年6月にサブリース新法が成立しました。契約業務など、不動産取引におけるサブリース業者とオーナー様のトラブルを未然に防止することを目的に行われました。

サブリース新法が成立した背景

人によっては サブリース=危険 こんなイメージが強いかも知れません。いわゆる「丸投げ」ができる契約として、オーナー様にとっては賃貸管理などの手間や空室の心配をする必要がないので、とても便利に思えます。しかし過去に、サブリース事業を行う業者が破綻して、大きなトラブルになったように、すべて任せられる分、それなりにリスクもあります。そういったトラブルや問題に対して、しっかりと対応するために新法が施行されました。

サブリース契約とは?

まずサブリース契約について、おさらいしてみます。サブリース契約とは、オーナー様の物件をサブリース業者が一括で借り上げることで、入居者の有無を問わず、オーナー様に家賃が保証されます。運用するにあたって、サブリース業者が家賃の10~30%を手数料として受け取ります。空室のリスクや賃貸管理の手間などを考えた時、賃貸経営の選択肢のひとつになります。

サブリースのイメージ

サブリースのメリット

最大のメリットは、サブリース業者が一括で借り上げるため、空室の場合もオーナー様に家賃が入り続けます。加えて、入居者募集やリフォームの手配など、何かと手間のかかる賃貸管理も任せることが可能です。

サブリースのデメリット

では反対にデメリットはというと、空室の心配がない代わりに保証賃料となるため、居者から受け取る家賃から保証料が差し引かれた金額になります。加えて、契約自体はあくまでもサブリース業者と入居者の間で締結されるため更新料や礼金については受け取ることができません。そのため、運用による家賃収入の最大化ができないという点があります。また、賃貸管理を委託している場合には、オーナーの意思で入居者を選ぶということもできません。

サブリース新法の内容

誇大広告の禁止

誇大広告とは、実際よりも著しく優良だと誤認させる広告や宣伝のことです。サブリース業者が支払う家賃、サブリースの契約解除に関する事項などで、誇大広告をしてはいけないとしています。例えば「確実保証」「一切下がりません」などの文言も、誤認を助長するものに当たります。

不当な勧誘等の禁止

こちらは誤った情報などを伝えることにより、強引にサブリース契約へと勧誘する行為を言います。例えば、お部屋の原状回復費用や大規模修繕費用などに加え、将来家賃が下がるリスクなどを伝えずにサブリース契約へと勧誘することなどです。

特定賃貸借契約締結前の重要事項説明

サブリース新法ではサブリース契約を締結する場合、書面をもって説明しなければならないとしています。例として、サブリース業者が行う保全維持方法の内容や、サブリースの契約期間に関する内容、更新・解約に定めがある場合の説明などが挙げられます。

サブリース新法で何が変わるのか?

メリットの多いサブリース契約ですが、デメリットやリスクも当然あります。サブリース業者が、不利な内容をしっかりと説明せず、メリットだけを伝えて、オーナー様が内容をよく理解しないまま契約に至り、トラブルに発展するといったケースは非常に多くあります。サブリース新法によってこうしたトラブルも未然に防がれると予測できます。例えば、契約締結前に重要事項がしっかりと説明されることで、オーナー様がサブリース契約の内容をしっかりと理解したうえで契約が可能になります。また、契約者の定期報告や入居者から徴収した金銭を分割管理することが義務付けられることで、悪質な業者による不当な賃貸管理を防ぐことも可能になります。オーナー様はしっかりとサブリース業者を比較検討し、またデメリットも知ることで適正な判断をすることが可能になり、健全な業界が形成されることに繋がります。

契約前の説明のイメージ

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