退去後の原状回復工事、借主負担になるケース

退去後の原状回復工事、借主負担になるケース

入居者が住み続けていた部屋の賃貸契約を解約した後に、原状回復工事を行います。

原状回復とは、退去する際に借りる前と同じような状態することをいいます。

工事にかかる費用に関しては、部屋のオーナーと借主の双方が金額を出し合って行うのが通例です。

お部屋の使用の仕方、年数などにより負担割合が変化しますが、金額によってはトラブルになるというケースもあります。

今回はANNEX・NEOが実際に対応した原状回復工事で借主負担になった事例をケース別でご紹介します。

原状回復についてガイドラインがあります

東京ルールでは、基本的な考え方を説明

東京都では退去時のトラブルを防止するために、2004年にガイドライン(賃貸住宅紛争防止条例)を定めています。

ガイドラインは「東京ルール」とも言われ、原状回復や入居中の修繕の基本的な考え方などを、宅地建物取引業者が説明することを義務付けたものです。

ガイドラインだけでは不足なところも……

原状回復の費用については、基本的にガイドラインの考えたかに沿って、オーナーと借主の負担割合が決定します。

しかし、ガイドラインもすべてのケースには対応しきれてはいません。

契約内容によっては、特約事項などが適用される場合があり、曖昧な部分もあります。

貸主負担

経年劣化

通常損耗

例えば…

  • 壁に貼ったポスターや絵画の跡
  • 家具の設置によるカーペットのへこみ
  • 日照等による畳やクロスの変色

借主負担

借主の責任によって生じた汚れやキズ

故障や不具合を放置したことにより、発生・拡大した汚れやキズ

例えば…

  • タバコによる畳の焼け焦げ
  • 引越作業で生じた引っかきキズ
  • 借主が、結露を放置したために拡大したシミやカビ

参考:賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

実例で見るトラブルになりがちな原状回復

借主負担の代表例!? タバコによるヤニ汚れ

原状回復工事の負担割合において、貸主負担と借主負担の大きな分岐点となるのが、故意・過失の有無です。

原状回復は
「借主の責任によって生じた損耗・キズ等の破損部分を元の状態に戻すこと」
ですので、故意・過失が生じた場合は借主の負担割合が増える可能性が高いです。

その故意過失の代表例として、喫煙によるヤニ汚れがあります。

室内で喫煙した場合のヤニ汚れは、黄ばみが生じてしまうので貼り替える必要があります。

さらにクロスの黄ばみだけでなく、煙草の臭いも染みついてしまいます。

ここまでくると次の入居者への影響も出てきますので、臭いのある箇所はクロスの全面貼り替えになります。

喫煙は百害あって一利なしと言いますが、原状回復工事においても、自身の負担を大きくする原因になってしまいます。

結露や雨の吹込みを放置したことによる色落ちやシミ・カビ

借りている住宅の汚れなどを放置する行為は、善管注意義務違反に問われ、退去時の原状回復費用が多額になります。

結果的にトラブルに発展することになるので、絶対に避けましょう。

家賃を払っているとはいえ、賃貸住宅はオーナーの財産なので、綺麗に使用する義務が当然に発生します。

冬場に起こりやすい結露を放置した結果、クロスにシミやカビが発生し、フローリングも腐食しています。

そして、窓を開けっぱなしにするなどして、吹き込んで来た雨水によるフローリングの色落ちなど、いずれも放置したことによる損耗・汚損になります。

この場合、借主の負担割合は多くなるのが通例です。また施工の内容によっては高額になるケースもあります。

キャスター付きのイスなどによるフローリングのキズ、へこみ

キャスター付きのものに限らず、イスや机などでフローリングへのキズやへこみの発生することは、容易に予想できます。

これは借主側の注意が問われ、発生させた場合は善管注意義務違反になる可能性が高いです。

フローリングは施工の内容によっては、高額になるケースがありますので、十分な注意が必要です。

以上が弊社が実際に対応した、原状回復工事における事例のごく一部です。

ご参考にしていただければ幸いです。

まとめ。借りた物件は綺麗に使いましょう

再三登場する善管注意義務というのが、費用負担を決定する大きな要因の一つになります。

善管注意義務とは、「善良なる管理者の注意義務」のことでです。

特定物の引き渡しの義務を負う人は、細心の注意を払う必要があるとされています。

賃貸住宅は退去の時に、オーナーへ引き渡すことになります。他人の財産である以上、綺麗に使用するに越したことはないです。

充分な注意を払って、綺麗に使用しましょう。

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