不動産とは、他に替えることができないものです。
資産として価値が高いため、不動産の取引については国家資格を所持している人が関わっています。
今回は新しく国家資格になった賃貸不動産経営管理士について紹介します。

賃貸不動産経営管理士とは?

賃貸住宅管理業務を行うための資格です

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家です。
賃貸住宅管理業において、契約書などの書面の交付や入居者からの苦情の対応など重要な役割を担います。
『賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律』で、法体系に基づいた国家資格として定められて令和3年6月に施行されました。
この資格賃貸住宅管理業務を行う上で設置が義務付けられている「業務管理者」の要件とされた法体系に基づいています。
また賃貸住宅管理業者が業務の管理・監督に関する事務を行うために、営業所又は事務所ごとに一名以上置く必要があります。

賃貸不動産経営管理士の業務

どんな人がなれるの?

賃貸不動産経営管理士の受験資格は特に設けられていません。
しかし実際の業務として携わる業務管理者になるには、いずれかの条件を満たす必要があります。
※業務管理者の要件(法律施行規則第14条)
管理業務に関し2年以上の実務経験を有する者で
1.登録試験に合格し登録した者
2.宅地建物取引士で「指定講習(賃貸住宅管理業業務管理者講習)」を修了した者
です。

賃貸不動産経営管理士になるまで

賃貸不動産経営管理士の役割

業務管理者として賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等を適切に行います。

業務管理者」として賃貸不動産経営管理士が行う業務

  1. 重要事項説明及び書面の交付
  2. 管理受託契約書の交付
  3. 賃貸住宅の維持保全の実施に関する事項及び賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
  4. 帳簿の備付け等に関する事項
  5. オーナーへの定期報告
  6. 秘密の保持に関する事項
  7. 賃貸住宅の入居者からの苦情の処理に関する事項
  8. 前各号に掲げるもののほか、賃貸住宅の入居者の居住の安定及び賃貸住宅の賃貸に係る事業の円滑な実施を確保するため必要な事項として国土交通大臣が定める事項

「賃貸住宅管理業者」として賃貸不動産経営管理士が行うべき業務

  1. 特定賃貸借契約の締結時における重要事項説明
  2. 長期修繕計画の策定などのオーナー提案など

※一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会より、抜粋して要約

賃貸不動産経営管理士が設立された背景

賃貸管理の多様化と相談内容の増加

日本の住宅数は年を追うごとに増えています。
その一方で人口の減少や住宅の供給過多などの理由で、空き家の増加が問題となっています。
1998年以降は空き家率が10%以上になり、2018年には13.8%になりました。

住宅数と空き家の推移

総務省統計局:住宅・土地統計調査

全住宅の4割近くを占める民営の賃貸住宅では、空き家になると家賃収入が得られないため深刻です。
安定した入居率のために、賃貸不動産業の役割は重要といえます。

民営借家の割合(2017年)

総務省統計局:住宅・土地統計調査

しかし、賃貸住宅も時代とともに変化していきます。
以前はオーナー自らが管理していましたが、高齢化や兼業化などで十分に対応できなくなったこと、管理内容も複雑かつ高度化したことから専門の管理業者に委託するケースが増えてきました。
賃貸住宅の種類や様々な入居者など多様化するうちに、入居者からのクレームや相談ごとが多くなり複雑化しています。

国民生活センターに寄せられた相談内容

国民生活センター:「消費生活年報」、「相談事例」を基に作成

資格として体系的に知識を共有

不動産業では、不動産取引については宅地建物取引士、マンションの管理については管理業務主任者と専門家の国家資格があります。
しかし賃貸管理については、明確なルールが存在しておらず、また該当する国家資格がありませんでした。
そのため、宅地建物取引士が業務を担当するなどで対応をしていました。
そして2007年7月に「賃貸不動産経営管理士協議会」が発足されました。
これまで団体ごとにあった資格を統一して、賃貸不動産経営管理士の認定が行われるようになりました。
また2020年6月に国土交通省が、「管理業務の適正な運営」と「借主と貸主の利益保護」のために「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を公布しました。
2021年6月に同法の施行に併せて、賃貸不動産経営管理士が業務管理者の要件とされた法体系に基づく国家資格となりました。

賃貸不動産経営管理士に求められるもの

近年の不動産市況は売買よりも、賃貸として定期的な家賃収入を得る方向に変化しています。
賃貸住宅の増加や外国籍の入居者の受け入れ、サブリースなどによる賃貸管理業務の委託など、大きく活性化しています。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家として、オーナーと入居者の双方にとって中立的な立場を期待されています。
また、入居者のニーズに合った物件の提案など、新しいビジネスチャンスを創る役割も求められています。