【実録】浴室排水管から漏水で下の階が水浸し。
管理会社としての対応

【実録】浴室排水管から漏水で下の階が水浸し。管理会社としての対応

階下の入居者から水漏れのクレーム

建物管理会社からの連絡

ある日、弊社で賃貸管理しているお部屋のマンション建物管理会社から、
「(弊社が)管理している部屋の真下の部屋で天井から水が垂れてきているので、水漏れが発生していないか確認してほしい」
という連絡が入りました。

このような水漏れ事故の場合、まず上階で洗濯機の排水ホースの外れや床に大量の水をこぼしてしまったなどの疑いがかかります。

稀に大雨が降った時など、外部より水が浸入し、室内に水が入ってくることもありますが、水漏れが起こった日までの数日間、雨は降っていなかったのでその可能性は無さそうです。

すぐに入居者に連絡を取り、洗濯の時にホースなどが外れていないか、その他床に水をこぼしてしまったりしていないか確認をしました。

すると、入居者からは「一切その様なことはない」という回答か返ってきました。

入居者による不注意で水漏れを起こしてしまった場合は、その時だけの水漏れで事は納まることが多いのですが、そうでない場合は給水管や排水管からの水漏れを疑うしかありません。

下の階の入居者に状況を確認するために連絡を取り、天井から水が漏れてきた時刻や量、また常時水漏れしているのか、一定時間だけなのかヒアリングを行いました。

状況を聞くことで、ある程度水漏れ箇所を絞り込むことができる場合があるからです。

そしてヒアリングの結果、廊下の天井から夜の時間帯に数時間だけ、バケツ半分位の量で水漏れが納まるとのこと、この状態がすでに2回起こっているとのことでした。

応急処置と専門業者による漏水調査

本格的な調査の前に応急処置

状況からすると、上の階で水を使用した後に下の階から水が漏れているようなので、排水管からの水漏れの可能性が高いということがわかります。これが常時水漏れが続くようならば、給水管からの水漏れである可能性もあるのです。

早速、漏水調査の専門業者に依頼をしました。本来ならば即日または翌日に調査に入るべきなのですが、入居者の在宅日時と業者の空き時間の調整がうまくいかず、今回は発生から1週間後となってしまいました。

水漏れの様子(実際)

この間に再び水漏れが発生すると、天井や壁、そして床材にまで被害が及ぶことになるので、被害を最小限にくい止めるため応急処置を行いました。

水漏れが起こった際の受け皿に使用するバケツを持っていき、天井にマスカーというマスキングテープにビニールのついたものを筒状にし、水をキッチンシンクまで流す様に養生を行いました。

専門業者による本格的な水漏れの調査

そして調査当日を迎え、専門業者が水回りの確認をし始めると、すぐに原因箇所と思われる場所が発見されました。

なんと浴室洗い場の排水口にあるトラップと呼ばれる部分に亀裂が入っていたのです。

この時点で、ほぼその亀裂からシャワーなどの使用時に排水が漏れていると特定できる状況でした。

今回はすぐに漏水箇所が発見できましたが、ケースによっては漏水箇所の特定がなかなかできず、数日間かけて調査が行われることもあります。

そして念のため、給水管から水漏れしていないかを確認するためにポンプにて耐圧試験を行いました。

給水管より水が漏れている場合は圧力計の数値がどんどん下がっていきますが、今回は圧力の低下が一切なかったので給水管には「異常なし」ということになります。

原因が特定されたのですが、さすがに業者さんも排水トラップの手持ちはなく、完全復旧は不可能なため、応急処置として排水口の亀裂部分をコーキング材で塞ぎました。とりあえずは、水漏れを止めることが出来ました。

そして、なぜ排水口に亀裂が入ってしまったのか、入居者の使用方法に問題はなかったのか確認するも、特に原因と思われることはなく、漏水調査専門業者の方もこれに類似したケースは今までに見たことがないとのことで、原因は特定できずじまいです。

亀裂した排水口と応急処置(実際)

漏水復旧工事と階下内装工事

浴室の漏水復旧工事

原因が特定できて応急処置を行いましたが、改めて完全復旧工事を行います。

浴室の排水トラップと呼ばれる部分の修理は、ユニットバスメーカーに修理依頼をした方がよいとのことで、メーカーに事の詳細と写真を送り相談をしました。しかし今回のケースは、やはり原因は不明という回答となりました。

今回の部屋の浴室は、4年程前にユニットバスを新設したばかりです。メーカー保証は設置から1年間となっていますので有償修理になるかと思いきや、幸いにも排水部分の不具合に関しては保証期間が5年間となっているとのことで、無償で修理対応を行ってもらえるとのことでした。

しかし、排水トラップの在庫が欠品しているとのことで、入荷次第の工事との回答でした。

昨近、住宅部材の不足が報じられていましたが、欠品していることもそうした事情なのかもしれません。結局1ヶ月以上過ぎた頃にようやく部材が入荷し、復旧工事が行われました。

工事当日は私も立会い、作業を確認させてもらいました。浴室の鏡や水栓を一旦取り外し、壁パネルを3面外した後で浴槽部分も取り外されて浴室がほぼバラバラの状態です。

そして取り外された浴槽側から床パネル下の排水トラップ部分を交換していました。

ユニットバスと言うだけあり組み立て式の為、排水部分を交換した後はバラしたパーツを順番に組み込んでいくだけで完全に元の状態まで戻り、復旧完了となりました。

階下内装工事

下の階の内装復旧については、上階を完全復旧してからでないと再発の可能性もあるので、工程的には最後となります

ようやく上階の漏水箇所の本復旧が終わったので、改めて下階の被害状況を確認します。

漏水発生時に水を拭き取り、バケツを置いたことや養生したこと、約2ヶ月近い時間が経過していたこともあり、水浸しだった天井や床の被害もほとんどなく、完全に乾いていて一見水漏れ被害が無かったかの様に見えます。

また幸いにも今回は家具、家電に被害は及ばなかったのですが、火災警報器が濡れてしまったので、壊れていたり誤作動を起こしたりすると火災発生時に大変なことになるため、火災警報器の交換とクロスの張替えの工事で復旧することになりました。

火災保険の見直しをお勧めします

以上、実際に発生した漏水事故と対応について書かせていただきました。

今回は発生から復旧まで、通常のケースより時間はかかってしまいましたが、ユニットバスメーカーの保証対応の範囲であったこと、そして漏水被害を最小限に抑えられたことなど、費用については予想よりも少ない金額で済みました。

しかし、水漏れの原因、被害状況、復旧箇所によっては多額の費用がかかることもあります。

また、被害住戸である下階にお住まいの方へ多大なご迷惑をお掛けしていることも事実です。

マンション経営を取り組んでいるオーナー様は、今回のような事態に備えて建物の火災保険に付加することで、一部費用をカバーできる特約に加入するなど、保険契約の内容を見直してみてはいかがでしょうか。

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