税制改正大綱の概要(2017年版)

税制改正大綱の概要(2017年版)

昨年12月に平成29年4月から施行の税制改正大綱が発表されました。税制の知識がある・なしで、時に損をしてしまうこともあります。身近な税金から、将来もしかしたらかかわってくるかもしれない相続税まで、改正事項の一部をご紹介いたします。

1.配偶者控除、配偶者特別控除の見直し

【配偶者控除】

納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。

《現行制度》

  1. 納税者の所得制限はなし。
  2. 配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合一律38万円の所得控除。

《改正後》

  1. 納税者の所得制限が設けられる。
  2. 配偶者控除が適用されるのは、納税者の所得金額が1000万円以下の場合。また、所得が900万円以上は控除額が縮小します。

【配偶者特別控除】

配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。

《現行制度》

  1. 所得制限1,000万円、配偶者の年収が105万円まで38万円の所得控除

《改正後》

  1. 所得制限1,000万円、配偶者の年収が150万円まで38万円の所得控除
  2. 納税者の所得が900万円超は控除額が縮小
配偶者控除、配偶者特別控除イメージ

2.相続税・贈与税の納税義務者の範囲見直し

《現行制度》

  1. 日本国籍でも、海外に5年居住すれば国外財産については相続税・贈与税の課税対象外

《改正後》

  1. 海外居住用件が厳しくなり、10年居住しなければ対象外とならない

※海外居住による節税対策を考えていた人は、新たな節税対策が必要です。

3.タワーマンションに係る固定資産税等の課税の見直し

タワーマンションの固定資産税・不動産取得税の税額計算方法が見直されます。

高さ60m超の建築物については、固定資産税額を按分する床面積の割合を1階を100として1階増すごとに10/39を加えた補正率で計算することになります。

高層マンションの場合、高層階になるほど人気があり売買価格が高くなりますが、固定資産税の額には反映されません。それを是正する目的です。

高層階に居住する方は、固定資産税の金額が高くなります。

例)タワーマンション(60m超)の40階の場合、1階と比べて

(40階-1)×10/39=10%

の割合だけ税率が加算されます。

タワーマンション(60m超)例)40階の場合、1階と比べて(40階-1)×10/39=10%の割合だけ税率が加算される。

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