賃貸仲介市場のIoT化について【2022年版】

賃貸仲介市場のIoT化について【2022年版】

賃貸仲介市場の大きな変化

2010年代後半から現在、賃貸仲介市場において大きな変革が行われつつあります。

変化の内容を簡単にいうと「手間と時間が減っている」ことです。

これまで部屋などを借りる場合は、賃貸仲介業者の店舗にお客様が来店されて、物件を紹介し実際にお部屋を見てみたいという希望があれば、物件に赴いてご案内という流れがスタンダードでした。

これからは、お客様が直接来店して対応する方法から、殆ど対面することなくお部屋を契約できる時代に変わりつつあります。2019年からのコロナ禍も拍車をかけており、今後はさらに新しい方法が広がっていくことが予想されます。

ネットワーク化・IoT化

では、具体的にどのように変わりつつあるのでしょうか? 大まかにいうと、「さらなるネットワーク化」と「IoT化」です。

今までもインターネットを介して賃貸物件の検索や、店舗への問い合わせなどで利用されていました。

最近では、入居審査の申し込みから契約手続きまで、すべてスマートフォンで対応できて、    まったく来店不要というケースも増えてきています。

大きく変化する可能性があるものとして、VRなどを用いたリモート内見や、賃貸仲介会社の立ち合い無しで一人で内見ができる無人内見などがあります。

変化を支える新しい技術の一つにIoTが挙げられます。IoTとはInternet of Thingsの略称で簡単に言えば「モノのインターネット」です。

従来はインターネットに接続することのなかったモノ、例えば、冷蔵庫・テレビ・エアコン・スピーカー・自動車などが挙げられます。

IoT化の影響を受ける賃貸仲介

賃貸仲介における物件のIoT化のメリット

今や業界を問わずIoT化が進んでいます。賃貸仲介業界もその影響を受けて変わりつつありますが、そのメリットはなんでしょうか?

物件の利便性をアピールできる

備え付けの家電などがIoT対応であれば、いつでもどこでも家電を操作できることで、入居希望者へ住み心地の良さをアピールできます。

またスマートスピーカー(Amazon EchoやGoogle Home)など音声入力が可能な端末を備え付けの設備として用意してあれば、スマートフォンを介さずに家電を操作することもできます。

最近では、カーテンの開閉など家電以外にもIoTを組み合わせて利用されているので、より利便性を向上させています。

物件のセキュリティー向上

IoTの特徴として、各種センサーとの連動が挙げられます。室内の変化をセンサーが感知すると、入居者に自動的に通知を行います。

また、常時インターネットに接続しているので、遠隔操作が可能です。

ここ数年で普及が目覚ましいのが、スマートフォンを鍵の代わりにするスマートキーです。

施錠をうっかり忘れてしまっても、スマートフォンから操作して鍵をかけることができるので、戻って時間をロスすることもなく安心です。

スマートキーは既存のドアに取り付けることができるので、オートロックがないマンションでもセキュリティーの強化に役立ちます。

スマートロックでスムーズな内見

IoTは生活の向上だけではなく、賃貸仲介にも適用されています。

例えば、スマートロックの場合、出先から施錠の確認だけでなく施錠をすることが可能になり、鍵の閉め忘れをすることがなくなります。

この機能を利用して、内見の案内に活用することができます。

今まで内見方法は、物件の管理会社から鍵を借りて内見を行い、終了後に鍵を返却していました。

鍵の貸し借りにかかる手間と時間もありますが、内見後の施錠忘れなどのトラブルが発生することもあります。

スマートロックに置き換えると、鍵の貸し借りにかかる時間を減らすこともできて、内見後の施錠の状況も遠隔で確認することができるので、安全でスムーズな内見を実現することでできます。

都合の良い時間に自分で物件訪問

最近では、賃貸仲介会社の同行がない『無人内見』も登場しています。

無人内見用のサイトから、内見を希望する日時を予約します。内見する当日までに、入室方法などが通知されます。

内見当日は、事前に送られてきた案内に従って入室し、一通り内見して退出後に完了の旨を連絡します。

無人内見の場合、通常の賃貸仲介会社の案内がある内見と違って、いつでも空き時間に見ることが可能になります。現地に行くのは自分だけなので、誰かに気を遣うことなく、しっかりと検討することが可能になります。

また、仲介業者側も内見のための人員を増やさなくても良いので、人件費を抑えることができます。

賃貸仲介におけるIoT化のデメリットや問題点

続いてデメリットについてです。新しい方法へと変化しているため、今までの方法と置き換えができていない部分もあります。

ドアの形状によっては対応できない

既存のドアに後付けで設置するスマートロックについては現状、すべての鍵・ドアに対応しているものはありません。鍵の形状によっては、スマートロックが設置できないこともあります。

施錠ツールの紛失

こちらもスマートロックについての内容になります。

例えば、スマートフォンを施錠ツールに設定していたところ、スマートフォンを紛失してしまうと、締め出されてしまう可能性があります。

加えて、パスワードなどの再設定が必要になる場合もあります。

その場で説明を聞くことができない

こちらは無人内見の際のデメリットになります。

セルフで内見ができるので、気兼ねなくじっくり見られる点はいいのですが、営業マンの説明やアドバイスをその場で聞く機会が持てず、何か疑問があった場合、連絡を取って確認する手間が生まれます。

他にも、物件へのイタズラや犯罪に発展するケースもあるかも知れません。

まとめ

過渡期なので、デメリットや問題点もありますが、いずれはしっかりと対策が取られるようになり、IoT化が当たり前になる世の中になると思います。

不動産屋に足を運び、全て紙で取引していた時代から、ネットで物件を探し、自分が良いなと思った物件をピンポイントで内見ができるようになり、更には、来店も不要のケースがあるなど、不動産業界においてもどんどんIT化の波が押し寄せ、進化してきました。

今後はこうしたIoTの技術も受け入れ、業界独自の発展をしていくことが予想されます。

pagetop