杭工事、基礎工事の種類と特徴について

杭工事、基礎工事の種類と特徴について

地盤の弱い場所には杭工事が必要

硬い地盤は地下深くの洪積層

マンションやビルなどの高層の建物を建てる場合、地盤の状態によっては、地中に杭を打って建物を支える工事が必要になります。

地盤は大きく分けて、洪積層(こうせきそう)と沖積層(ちゅうせきそう)があります。

洪積層は氷河期の時代から時間をかけてつくられた地層なので、建物を支えるには充分な硬さをもっています。古い地層のため地中の深いところにありますが、地盤の隆起などによって地表に出ることがあります。

沖積層は氷河期以降にできた地層です。風化や海面の変化、川の流れで礫(れき)や砂が堆積した地層です。平らな土地の多くは沖積層です。平坦で住みやすいですが、軟弱な土地なので災害に弱いです。

特に、地盤の緩い沖積層のある地域では、数十メートルの杭を地中の固い岩盤(洪積層)まで打ち込む必要があるので、かなり大掛かりな工事になることもあります。

※国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センターの記載内容を基に作成

2015年に起きた杭工事のデータ改ざん問題

横浜市都筑区の大規模マンションにおいて、マンションが傾き、杭工事のデータ改ざんや施工不良が問題になり、ニュースなどでも連日報道されていたことは記憶に新しいと思います。

不動産業界でも、不動産購入時の重要事項説明書で、関連会社の施工であるかどうかの明記をすることを義務付けるなど、対応に追われました。

該当のマンションは大手による施工ということもあり、全戸建て替えられて昨年住民の入居も完了したとのことですが、人生の中で最も高い買い物であるマイホームが瑕疵物件となれば、精神的負担も相当のものだったと思います。

マンションの要『基礎工事』

マンションの建築には、いくつかの工程があります。その中でもマンションの土台となる「基礎工事」は最も重要な工程といっても過言ではありません。

基礎工事には、下記の通りいくつか工程がありますが、今回は杭打ち工事について解説します。

建物位置出し
建物位置出し
山留工事
山留工事
杭打ち工事
杭打ち工事
掘削工事
掘削工事
基礎躯体工事
基礎躯体工事

杭工事の種類

杭工事にもいくつか種類があります。

細かく分類するとかなりの種類があるのですが、今回は主に「既成杭」と「現場造成杭」の違いについて紹介します。

工事が短期間でできる既成杭

現場外で造成された杭を運んできて、現場にて打ち込み・埋没する方法です。

完成している杭を埋めるので、短期間で工事ができる反面、施工するための重機が収まる現場でなければ施工できません。大規模な現場にて用いられる工法です。

狭い土地でも対応できる現場造成杭

文字どおり、現場にて杭を造成する工法で、現地に穴を掘り、鉄筋を立て込み、コンクリートを流しいれて杭を造成します。既成杭よりも工程が多いため時間がかかります。ただし狭い土地の現場でも掘削可能な重機で施工するためマンションやホテルなどの現場でよく用いられる工法です。

造成杭で一般的なのは「アースドリル工法」という工法で、アースドリル機を使い地面を掘削し、杭をつくります。

一般社団法人日本基礎建設協会の図を基に作成

上記以外にもさまざまな工法があり、その土地の地盤や開発規模によって使い分けされます。興味のある方は調べてみてください。

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