ワンルームマンション投資の
サブリースを正しく理解しよう

ワンルームマンション投資のサブリースを正しく理解しよう

サブリースは一括借り上げで
賃貸管理を委託

マスターリースとサブリースの違い

マンション投資を安心して運営するには、日々の賃貸管理が重要です。

賃貸管理は多く分けて、「マスターリース」と「サブリース」があります。

マスターリースとは、オーナーとサブリース会社が賃貸借契約を結ぶことです。

サブリース会社はオーナーから不動産を一括で借り上げて、家賃は不動産会社からオーナーに支払われます。

一方サブリースとは、サブリース会社がオーナーから借り上げた物件を、他の人(第三者)に貸し出すことです。

一般的には、マスターリースも含めてサブリースと表記する場合が多いです。

2種類のサブリース

賃料固定型(家賃保証型)

サブリースとして一般的なのが、毎月の家賃を保証するタイプです。

空室状況に関わらず、毎月同額の家賃が入ってきます。

マンション一室のサブリース、定額で保証される場合がほとんどです。

賃料固定型(家賃保証型)

実績賃料連動型(パススルー型)

毎月の家賃が定額ではなく、入居状況に応じて得た家賃によって、オーナーが受け取れる家賃の額が変動するタイプです。

家賃が上がれば受け取れる額も増えるため、1棟での運用に適用されることが多いです。

空室保証がないなど、賃料固定型よりもリスクが高めです。

実績賃料連動型(パススルー型)

サブリースの契約にかかる費用はありません。

家賃に対して5~20%ほどの手数料を毎月、サブリース会社に支払います。

実際に入って来る家賃から手数料を引かれた残りの金額が、サブリース会社から毎月振り込まれます。

単身者用のワンルームマンションの場合、都内近郊であれば8~10%の手数料が相場です。

ファミリーマンションや地方の物件になると、サブリース会社のリスクが高くなるため、手数料が高くなるケースがほとんどです。

サブリースのメリットとデメリット

【メリット】オーナーの負担とリスクを減らす

空室リスクがなくなる

オーナーが所有する物件をサブリース会社が借り上げるので、入居者がいない空室期間でも安定した家賃収入を得ることができます。

借り上げ期間は10~35年と長期間で設定することが多いので、物件が古くなっても家賃保証は発生するので空室リスクがありません。

入居者が退去して、次の入居者が入るまでの期間や内装工事中など、本来は家賃が発生しない期間でも、収入を得ることができます。

空室でも家賃が入る

家賃滞納リスクがなくなる

ワンルームマンション投資で厄介なのが、入居者の家賃滞納です。

借地借家法で入居者は守られているので、家賃を滞納されても簡単には追い出すことができません。

「あらゆる手を尽くしたが入居者側に支払いの意思がない」と裁判所に認められて初めて強制退去命令となるので、かなりの時間と費用がかかります。

当然のことながら、裁判をしている間の家賃収入はありません。

滞納保証があれば、入居者が滞納していても家賃収入が得られます。さらに家賃滞納の督促など面倒で気の進まない業務も、サブリース会社が対応します。

滞納でも家賃が入る

入居者募集のための費用が軽減

新しい入居者を募集する時は、賃貸仲介会社を通じて紹介してもらうことがほとんどです。

入居者が決まると、賃貸仲介会社へ入居者の募集にかかった費用を広告料として支払います。

一般的には、広告料はオーナーが負担しますが、サブリースの場合はサブリース会社が負担することが多いです。

入居者のトラブルを丸投げできる

トラブルといっても重たい問題ではありません。

日常の生活で起こりうるトラブルへの解決を入居者は求めています。

問題を放置すれば、最悪の場合は退居になりかねるので、迅速かつ誠実な対応が必要です。しかし、オーナーがトラブル発生の度に対応しては、時間が取られるばかりか心身への負担が増えます。

サブリースの場合は、入居者とサブリース会社とのやりとりになりますので、煩雑な作業からは解放されます。

エアコンの調子が悪い

エアコンが故障

水漏れしている

水漏れしている

隣人がうるさい

隣人がうるさい

【デメリット】コストがかかるサブリース

簡単に解約はできない

借地借家法では、入居者が不利になりないように定められています。それは、貸し出し側の一方的な理由で、家を追い出されることがないようにするためです。

貸し出をしている側から賃貸借契約を解除するには、正当な理由がなければ適用することはできません。

サブリース契約を解約するには、貸し出し側であるサブリース会社の同意が必要になります。

サブリース会社も契約を交わして業務として携わっていますので、解約に対応するとしても、解約希望日の数ヶ月月前に申し出るか、解約違約金を支払うことになります。

家賃の保証金額は定期的に見直される

建物の老朽化や、周辺の家賃相場の下落、空室期間が続くなど、市場や環境の変化よっては家賃を下げる必要があります。

サブリース会社も運用コストを確保する必要があるので、オーナーに対しても家賃の見直しを提案することになります。

敷金や礼金は運用コストや手数料に使われる

入居者が契約した際に支払われる敷金や礼金は、貸主であるサブリース会社が受け取ることが多いです。

オーナーと契約しているのはサブリース会社なので、取引上は問題ありません。

サブリース会社によっては、敷金や礼金を退去した後の原状回復費や家賃保証の原資として使うことがありますので、契約内容をよく確認するようにしましょう。

売却の際に価格を下げる要因になる

投資用に購入した物件を売却する場合、サブリース契約が付いていると売却価格が下がることがあります。

サブリースが付いている限り、次のオーナーも手数料が引かれ続けることになるからです。

サブリースを解約する費用と、サブリースが付いたまま安く売却するのが、適切なのか検討する必要があります。

サブリースのネガティブな
イメージと法対応

サブリースの悪い印象

サブリースと聞くと、悪質な不動産業者がオーナーからお金を騙し取っているイメージを持たれています。これは2018年頃に、立て続けにサブリースを悪用して新聞沙汰になったからです。

サブリース契約時に、長期間で高い家賃保証が続くと、誤解を生む説明をしていました。しかし2年後には家賃の見直しで家賃が下げられて、さらに空室が続くとサブリース契約が打ち切られます。

結局、収益を生まない物件だけが残されて、負債を抱えた個人投資家が被害を受けることになりました。

サブリース新法の成立と施行

不当なサブリース契約から個人投資家を守るべく、家賃保証にも契約前に重要事項説明が義務付けられました。一般的には、サブリース新法と呼ばれています。

2020年12月15日より「賃貸住宅の管理業務などの適正化に関する法律」が施行され、サブリース契約や事業に関する規制が追加されました。

すべてのサブリース業者に以下の内容などを義務付けました。

  1. 誇大広告等の禁止(28条)
  2. 勧誘時における、故意に事実を告げず、又は不実を告げる等の不当な行為の禁止(29条1項)
  3. サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明(30条1項)

サブリース新法で、個人投資家もサブリースの契約前に家賃の減額リスクなどを確認することができるようになりました。

その他にも、2021年6月15日には賃貸住宅管理業に係る登録制度が創設されました。

賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業を運営する者について、国土交通大臣の登録を義務付けました(3条1項本文)。

さらに、登録を受けた賃貸住宅管理業者は、次の内容なども義務付けられました。

  1. 業務管理者の選任(12条)
  2. 管理受託契約締結前の重要事項の説明(13条1項)
  3. 財産の分別管理(16条)
  4. 委託者への定期報告(20条)

契約前の説明と責任者の所在を明らかにしたことで、今まで以上により安心して取り組めるのではないでしょうか。

自分に合った運用方法を選びましょう

サブリースは、手数料はかかりますが、家賃保証や煩雑な運用の委託ができます。

初心者の方、リスクを取りたくない方は、保険をかけるような気持ちでサブリース契約を選択する方法もあります。

好立地で人気の物件なら集金代行、リスクを取ってでも多額の家賃収入を得たい方は自分で運用するなど、選択肢は様々です。

自分の運用方針に合った、賃貸管理会社をパートナーに選ぶのが最適です。

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